ピロリ菌は胃の中に好んで住みつき、胃の壁を傷つける細菌で1980年代に発見されました。
胃の中は強い酸性で「細菌が住めない」と思われていたため、判明するまでに長い時間を要しました。
その後の研究により、ピロリ菌が様々な病気の発症に深く関わっていることが明らかになってきました。以下、ピロリ菌の治療が保険で認められている疾病です。
- 1. 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 2. 慢性胃炎(内視鏡検査で診断された場合のみ)
- 3. 早期胃がんの内視鏡治療後
- 4. 胃MALTリンパ腫
- 5. 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
他にまだ保険では認められていませんが、胃過形成性ポリープはピロリ菌の除菌によって縮小することがわかっています。ピロリ菌除菌治療の意義が検討されている疾患として、機能性胃腸症、胃食道逆流症、慢性蕁麻疹、虚血性心疾患、偏頭痛、ギラン・バレー症候群などがあり、様々な疾患への関与が疑われています。
● ピロリ菌の検査と治療
保険が適用されるためには、医師による「慢性胃炎」等の診断のもと、内視鏡検査(胃カメラ)やその他の検査を受け、ピロリ菌感染の有無を調べます。その結果、ピロリ菌による慢性胃炎が確認されれば除菌治療を行います。
治療は『3剤併用療法』といって、「2種類の抗生物質」と「胃酸を抑える薬」を 1日2回、一週間服用するだけです。約1~1ケ月半後に、除菌できたかどうかを呼気検査(吐いた息を検査する)で調べます。最初の治療で大半は除菌できますが、下痢や腹痛などの副作用で薬を服用できなかったり、薬に耐性を持つピロリ菌がいるなどで除菌が失敗した場合、薬の種類を変えて再び除菌療法を行います。
※ 表は検査の流れの基本例です。
患者さんの症状やご要望により検査の順番や内容が変わる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
● ピロリ菌の除菌
除菌にはプロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑える薬)と抗生物質を1週間服用します。プロトンポンプ阻害薬で胃酸の分泌を抑えておいてから、抗生物質でピロリ菌を除菌します。服用終了後から約1ヶ月後以降に除菌療法の効果の判定を行いますが、1ヶ月程度だと検査結果が偽陰性(菌がいるのにいないと判定されること)になることがあり、半年以降に判定したほうがいいという意見もあります。この方法による除菌率はわが国では、70%程度と報告されています。
最初の除菌療法でうまくいかなかった場合は、違う薬を使って再度、除菌療法を行うことが出来ます(二次除菌)。この方法により、さらに90%以上の方で除菌が可能であったと報告されています。
※ 保険適用になったピロリ菌検査
かつてピロリ菌の除菌治療は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気についてのみに健康保険が適用されていましたが、2013年2月21日から「慢性胃炎」も健康保険の対象に加わりました。ピロリ菌によって炎症を繰り返す慢性の胃炎に対する薬の有効性および安全性が確認されたためです。
また、保険適用の対象となった慢性胃炎は、「胃カメラで確定診断された」慢性胃炎であることが大きなポイントです。
- 医院名:さとうメディカルクリニック
- 院長:佐藤 徹(医学博士/日本消化器病学会認定消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医)
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